連載 知的財産権⑦ 特許の基礎知識2
前回に引き続き、特許の基礎知識について解説します。
前回、特許制度は、独占権を与えて発明を奨励し、かつ特許は公開されることにして産業の発展を図ろうとするものであることを説明しました。
そのような制度趣旨からすると、いまだ世に知られていない非公開の発明だけに特許権という独占権を認め、公開を促せば足りることになります。
そこで、特許出願前の時点から、公然に知られた発明や、公然に実施された発明、刊行物に記載された発明については、特許法29条1項により特許を受けられないこととされています。
例えば、特許出願前に発明の内容をむやみに話してしまうと、その内容が公然の事実となり、特許が認められないことがあります。
また、特許出願前に不特定多数の者が認識し得るような状態で展示したり流通させたりしてしまうと、特許が認められないことがあります。
さらに、特許出願前に、カタログ、インターネット等で内容を告知してしまったような場合も、特許が認められないことがあります。
もちろん、学会発表や試験研究の場合等、実施後であっても特許を受けられる場合もありますが、あくまでも例外的であり、安心はできません。
もし発明をしたときは、皆に宣伝したくなる気持ちは分かりますが、その前に特許出願をするかどうか、発表の時期をどうするか等、一度専門家にご相談されることをお勧めします。