連載 知的財産権⑫ 特許の基礎知識7
今回は、特許権を侵害するとどうなるのかについて、あらためて説明します。
過去に、特許権を侵害した行為に対しては、損害賠償請求が認められます。また、刑事罰も用意されています。
損害賠償の基本的な考え方は、もし特許侵害が無ければ特許権者が得られたはずの利益額について損害賠償が認められるというものです。
この得られたはずの利益額を立証することは困難を伴うことから、特許法は、3つの推定規定を設け、立証を容易にしています。
①特許侵害品の販売数量に特許権者の一個当たり利益額を掛けた額を損害額とすることができます。
②特許侵害者の利益額を特許権者の損害額とすることができます。
③特許の実施料(ロイヤルティ)相当額を特許権者の損害額とすることができます。
特許権者が損害賠償請求をするときは、上記の3つの推定規定のいずれを使って請求すると有利になるか、作戦を練る必要があります。
他方、現在及び将来の侵害行為に対しては、差止請求が認められます。
差止請求権とは、特許侵害の停止又は予防を請求する権利をいいます。特許侵害品や、特許侵害行為に供した設備の廃棄等を請求することもできます。
このように、特許権侵害に対しては、様々な救済策が用意されています。もし第三者に特許権を侵された場合、逆に特許権侵害の主張を受けた場合には、弁護士等の専門家にご相談されることをお勧めします。
つづく