全国の自治体に影響を及ぼす税務判決 -札幌市固定資産評価違法訴訟で勝訴-
(平成28年3月寄稿)
新聞等でも報道されましたが、本年1月、当事務所が担当する固定資産税等に関する訴訟の判決が言渡されました。札幌地裁は、私ども(原告)の主張をほぼ全面的に認め、札幌市の固定資産評価は違法であるとし、札幌市と北海道に対し、原告が過大に納付した固定資産税、不動産取得税等の返還を命じました。
この訴訟は、一部が事務所に使用されている分譲マンションについて、マンション全体につき1つの「経年減点補正率」を用いるべきか、住居と事務所という用途ごとに別々の「経年減点補正率」を用いるべきかが争われた事案です。「経年減点補正率」とは、建物評価において、時間経過に伴う価値の低下を反映させるための補正率であり、減価償却率と同様の考えに基づくものです。総務省の示す「固定資産評価基準」では、事務所は住居よりも補正率が高く設定されているため、その分だけ評価額は高くなり、税額も高くなります。
札幌市は長年にわたって、用途ごとに別々の補正率を用いてきたのですが、当方は、このような評価方法は地方税法に違反するものであり、マンション全体について、主要な用途である住居向けの補正率を用いるべきだと主張してきました。
本件と同様の物件は札幌市内に多数あり、また、札幌市と同じ方式の評価方法を採用する自治体は道内外に多数あることから、本判決の影響は全国に波及する可能性があります。今後、上級審にて争われることが予想されますので、また経過を報告させていただきたいと思います。