遺言で事業承継をスムースに運ぶために

相続・遺言

 今回は、遺言を利用する場合の注意点をお話ししたいと思います。
 まず、遺言の目的が、会社支配権の委譲にある以上は、会社経営を安定的に行える議決権数を前提とした株式を承継させなければなりません。また、株式以外の遺産で、個人名義の不動産等で事業資産として利用されているものがあれば、この財産も後継者に承継させる必要があります。
 次に、前回お話しした遺留分に関する紛争を避けるための対策を講じる必要があります。前回お話しした対策以外としては、遺留分減殺請求権行使の順序・方法を遺言で定めておくことで、遺留分減殺請求権が行使された場合でも、株式などの事業資産が分散されることを避けることができる場合があります。
 なお、遺留分減殺請求権が行使された場合、株式等の分散を避けるために、後継者以外の相続人に対して、価額弁償を行う必要が生じる可能性がありますが、その原資として、後継者を保険金受取人とした生命保険を利用する例も見受けられます。一般的に、保険金は相続財産に含まれないと考えられていますが、保険金額やその他事情によっては、保険金が特別受益の対象と評価される可能性がありますので、注意が必要でしょう。
 なお、遺言において、遺留分減殺請求権を行使しないようにとか、相続で争わないようにと故人の意思が表明されている場合があります。相続人全員が故人の意思を尊重しようということなら別ですが、このような故人の意思に法的な効力はありませんので、実際の効果のほどはあまり期待できない場合が多いかもしれません。
 最後に、遺言の内容をスムースに実現するために、遺言で遺言執行者を指定しておくことも検討すべきでしょう。

pagetop