諦めると損。売主への責任追及。
せっかく買った物が不良品だった。こんな経験はありませんか。こんなときどうすればよいでしょうか。スーパーで買った食料品などであれば、お店にちゃんとした物と交換してもらえば、普通はそれで解決ということになります。
ところが、リサイクルショップなどで中古品を買った場合はどうでしょうか。高級腕時計を買ったけれども時間が不正確すぎる、あるいはチャイルドシートを買ったけれどもベルトが壊れていて装着できないといった具合に、せっかく買ったのに、到底使い物にならない。しかし、デザインや色あるいはブランドなどが気に入ってそれを買ったわけだから、類似の商品に交換してもらいたいわけではない。そうすると、契約を解除して代金を返してもらったり、損害賠償(たとえば修理費用)を請求することが考えられます。民法では、買った物が不良品だった、欠陥があった、という場合には、買主は、損害が生じていれば売主に損害賠償を請求でき、さらに契約の目的を達成できないのであれば契約の解除ができるとされています。
しかし例外もあります。契約書などに「目的物に瑕疵があっても、買主は解除や損害賠償はできません」などと書いてある場合です。実は、民法では、欠陥があっても売主が責任を負わない(買主は解除や損害賠償請求ができない)という特約も有効とされているのです。(ただし、売主がその欠陥を知っていたのに黙っていた場合は例外です)。
しかし、すぐに諦める必要はありません。消費者契約法では、売主が企業で買主が消費者の場合、売買の目的物に欠陥があっても売主が全く責任を負わないという特約は原則として無効であると定められています。契約書などにこうした特約が書かれてあったとしても、買主は、買った物に欠陥があれば、契約解除や損害賠償請求をできる可能性があるということです。
ただし、欠陥に気付いてから1年、欠陥に気付いていなくても引渡しを受けてから10年が経過すれば、原則として契約の解除や損害賠償請求ができなくなります。裁判でも、売主が、買主が欠陥に気付いてから1年以上経過している、あるいは引渡しから10年以上経過しているから責任を負わない、と主張することは珍しくありません。
そのため、物を購入した後は、それに欠陥がないかどうかを確認することが大切です。欠陥に気付いた場合には、すぐに弁護士に相談するなりして対応をすることも重要といえます。