離婚原因を作った側からの離婚の請求について

離婚・男女間のトラブル, 法律関係トピックス

 浮気をしたり暴力をふるったりし、自ら離婚原因を作った配偶者を有責配偶者と呼びます。今回はこの有責配偶者から相手方の配偶者に離婚請求が許されるかというお話しをさせていただきます。
 いままでは最高裁判所はこれを認めないという考え方に立っていましたが、現在では3つの要件が満たされれば離婚請求を認めるという考え方に変わっています。
 ①別居期間が双方の年齢や、同居期間との対比から相当の長期間に及ぶこと
 ②未成熟の子どもがいないこと
 ③相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態に置かれるなど、離婚を認めることが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情がないこと
 です。
 それぞれについて少し詳しく説明します。
 ①の別居期間が長期間かどうかについては、裁判所が結婚期間・別居期間その他さまざまな事情を考慮した上で判断することになっています。
 ②は、原則として夫婦間の子どもが経済的に独立している必要があるということです。ただし、学生・生徒の子どもがいる場合でも別居期間の生活費の負担や有責配偶者と子どもとの関わりなどを考慮したうえで離婚を認めたケースもあります。
 ③について、実際の裁判では、有責配偶者が相応の生活費を負担してきたか、十分な内容の離婚給付(財産分与や慰謝料)の申し出をしたか、離婚を拒否する側の生活・収入の状況、などの事情を考慮して③の要件が認められるかどうかを判断しています。
 別居が長期化し夫婦としての実態がなく、将来的にも関係回復の見込みがないような場合にまで、夫婦関係を続けさせるのは不合理であるとの観点から、一定の要件を満たせば有責配偶者からでも離婚請求が認められることになっています。
 

pagetop