かかりつけ弁護士~ホームロイヤーについて

法律関係トピックス, 成年後見、任意後見、財産管理

 自分の健康に不安を覚えたときに気軽に相談できる、いわゆる「かかりつけ医師」がいると安心なように、気軽に相談できる「かかりつけ弁護士」がいれば安心と考えたことはありませんか。
 日本弁護士連合会では、かかりつけ弁護士をホームロイヤーとよび、来たるべき超高齢化社会に向けて普及推進に努めています。
  ホームロイヤーは、次の3つの視点を重視してご本人の支援を行います。
 第1の視点は、「トータルな支援」です。
 高齢期に生じる問題は、医療や介護の問題、住まいの問題、財産管理の問題、遺言作成等の相続に関わる問題など多種多様です。こうした問題を部分的に支援するだけではなく、ご本人のライフスタイルを把握し、トータルに支援していきます。
 第2の視点は、「継続的な支援」です。
 起こってしまったトラブルに対処することは重要なことです。
 しかし、より重要なことはトラブルが起きることを未然に防ぐことです。悪質業者による被害に遭わないためにも、些細なことでも気軽に相談ができる環境を作り、高齢者の方に継続的に寄り添い支援していきます。
 第3の視点は、「福祉・医療機関との連携」です。
 弁護士は医療や福祉の専門家ではありませんが、福祉や医療の問題にも対応が必要です。そのために福祉・医療機関と連携し、役割分担をしてご本人を支援していきます。

 さて、前回、任意後見制度についてご説明しました。
 この制度は、ご自分の判断能力がしっかりされている時に契約をし、判断能力が不十分になった際に、任意後見人による財産管理や身上監護(生活面の手配)をスタートさせます。
 そこで適切なタイミングで任意後見契約をスタートさせるためにも、ホームロイヤー契約を締結しておくことをお薦めいたします。継続的に関わることで、生活の状況や判断能力の程度の変化を見逃さず、適切なタイミングで任意後見契約をスタートさせることが可能となります。
 これにより、ご本人の判断能力が低下しているにもかかわらず、後見人のサポートを得ることができない期間が生じてしまうリスクを取り除くことができます。
 現状では、ホームロイヤー契約は十分に認知されてはいない状況ですが、高齢者を支援するための重要な社会的意義を有する制度と言えます。

 当事務所のホームロイヤーへの取り組み方は、初めに、ご本人に健康のこと、ご家族のこと、財産のこと、今不安を抱いていることなど、事細かにお尋ねし、現在の状況を確認させていただきます。また、将来に関して、どのような介護を受けたいのか、どのような医療を受けたいのか(例えば胃ろうに関することなど)、相続をどのようにしたいのか、更には葬儀やお墓など、ご本人の要望をとことん承ります。これらを踏まえ、定期的に相談をお受けし、その時々にご本人に必要な支援を適切に行っています。一度ぜひ積極的に、ホームロイヤーについて考えてみてはいかがでしょうか。

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