【裁判員裁判の研修】(弁護士 村田)
平成21年5月から始まった裁判員裁判は間もなく10年目を迎えようとしています。
従来の刑事裁判と裁判員裁判の大きな違いは,職業裁判官と一緒に法律の専門家ではない方が裁判に加わることと,書類を読んで判断する裁判ではなく法廷の中で聞いたこと見たことをもとに判断する裁判であることです。
法廷の中で聞いたこと見たことをもとに判断するためには,弁護士も主張や証拠を的確に分かりやすく要領よく伝える技術を身につけなければなりません。
このような裁判員裁判に対応するため,弁護士会は裁判員裁判の弁護技術についてこれまでたくさんの研修を行ってきました。しかし,研修を担う指導者の数が限られていることや研修に手間がかかる(3日間朝から夜までみっちりと研修を受ける必要がある。)ことから,裁判員裁判の弁護技術を身につけた弁護士の数を大きく増やすことには限界がありました。
そこで,札幌弁護士会は,東京から裁判員裁判の最先端を担う弁護士2名を講師として招き,3月24日と25日の2日間,弁護技術の指導者を育成するための研修を行いました。
私も10年前と昨年の2回,東京で3日間の研修を受けていたことから,この研修に指導者候補8人の1人として参加してきました。
研修の内容は,受講生役の弁護士が行う実演に対して,問題点を見つけ改善のための的確なコメントを行うことができるようにするというものです。
実演の内容を正確にメモし,実演後ただちにコメントするというのは想像以上に大変な作業でした。
東京から来た講師陣は,私たちのコメントについて的確な講評を行うばかりでなく,受講生役の弁護士の実演にも的確な講評を行ってくれました。
彼らを見ているとこの域に達することができるのはいつのことなのだろうと気が遠くなる思いもありましたが,これからも勉強を重ねていく意欲の湧く研修でした。
今後も札幌で行われる裁判員裁判が裁判員にとって分かりやすい裁判となるよう研修を重ねていく予定です。