【猫と自転車は自動運転の敵?】(弁護士 小寺正史)
ある講演会で、猫と自転車が原因で、一般道路での自動運転は無理であるとの話がされました。
その理由は、猫と自転車の動きは予測できず、AIには到底対応できない。したがって、一般道路において自動運転は無理であるとのことでした。
現在、自動運転の実用化に向けて開発が進められ、AIの能力も高まってきています。しかし、いくら技術が進歩しても、予測できない不規則な動きに対応することは困難であり、一般道路において、「事故を完全に防止できる自動運転」は無理と言うこと。すなわち、AIは万能ではないと言うことでした。
なるほど。自転車は交通ルールも何もかまわず、身勝手に動く場合があります。これは、人間の運転手であっても対応できず、実際に事故が発生しています。したがって、「事故を完全に防止できる自動運転」ができないとしても、人間と同程度の安全運転ができるならば、自動運転を認めるという考え方もできます。
その場合、発生した事故の責任はどうするかということが、大きな問題となります。試案として、民事と刑事で分けて考え、民事的には保険などで柔軟に被害者を保護し、刑事については寛大に対応することが技術の活用には適しているのではないでしょうか。
AIなどの技術が発達する中で、様々な問題が生じてきます。これらの諸問題について、安全を確保しながら、柔軟で大胆な発想で、技術を活用する視点が必要になるのではないでしょうか。