【時代の節目に心に移りゆくよしなしごと】(弁護士 小野田)
どこでも「平成最後」が大安売りのように使われており,しつこくて申し訳ありませんが,当事務所FBの更新も今回が「平成最後」となります。
来たる令和元年は,西暦2019年,皇紀2679年,ヒジュラ暦1440年,イラン暦1398年,クルド暦2631年,ユダヤ暦5779年,仏暦(タイ太陽暦)2562年にあたるようです(太陽暦と太陰暦があるため,完全に対応しているわけではありません。)。他の暦法がどうこうというのでは全くありませんが,どんどん年数が積み上がっていくのではなく,御代替りを目印として時代を区切ることによって,過去の自分を振り返りかえったり,次の時代を新たな気分で迎えたり,それぞれの時代や世代の特徴を語り合ったりできるというのは,それ自体が文化の豊かさを示すものといえるのではないかと思っています。
思い返せば,昭和から平成へと変わるころ,私は高校生で,新聞記者を目指していました。大学に進学後,近藤紘一という若くして亡くなった新聞記者の「サイゴンの一番長い日」というノンフィクションを読み,彼が海外に行く際は必ず斎藤茂吉の「万葉秀歌」を持ち歩いているということを知りました。彼は「異郷で読む『万葉集』は底無しの井戸だ」と言っています。かっこいいと憧れた私は彼を真似して,以後20年くらい,海外に行くときには必ず万葉秀歌を持ち歩いていました。もっとも,海外ではたいてい二日酔いでほとんど読んでおらず,底無しの井戸から何も汲み取らないまま今に至っておりますが。
平成から令和に変わろうとする今,新元号が万葉集に由来するという話を聞いて,こんなことを思い起こしながら,いろいろと考えておりました。もっと勉強しておけばよかったなぁ,とか,あのころは自分が平成の御代を検事,そして弁護士として過ごすことになるとは想像もしていなかったなぁ,とか。そして,今は若いころより将来の選択の幅は狭まっているかもしれないけれども,まだまだ変化と進化を求めてやっていきたいなぁ,などとも。
「平成最後」のFB更新なのに,とりとめのない話で申し訳ありません。「令和最初」のFB更新を誰が担当するのかはわかりませんが,まとまりのある,皆様にとって有益なものとなることが私の「平成最後」の願いです。