【ふってわいた遺産相続。さあどうしましょう。】(弁護士 小寺正史)

小寺弁護士, 弁護士ブログ

 近年、遠い親戚が亡くなり、突然、相続人となった事を知らされ、困惑するケースが増えています。これは少子高齢化と家族間での親戚づきあいが減ったことによるようです。
                
 子供がいない高齢者が死亡した場合、親がすでに亡くなっていますと、兄弟あるいは甥姪が相続人となります。
 しかし、家族間でほとんど交流のない場合、突然兄弟あるいは叔父・叔母が亡くなり、その相続人となったとの知らせを受けることになります。どのような生活をしていたかをはじめ、負債の有無など財産関係がよくわからないために、不安を感ずるのが通常です。
                  
 このような場合に、面倒なことに係わりたくないばかり、相続放棄を選択する方が多いようです。しかし、ちょっと待ってください。財産もあるかわり、負債もあるのではと心配する場合には、「限定承認」という方法があります。
 限定承認の場合、相続財産を処分して、債権者に支払いをします。債務が多い場合は、債権者に按分して支払います。この場合、不足分を相続人が負担して支払う義務はありません。他方、もし残余が出れば、相続人が受け取ることができます。
 したがって、限定承認は相続のリスクを回避する上で大変有効な制度です。
                    
 限定承認は、自分が相続したことを知ったときから3ヶ月以内にしなければなりませんので期間に注意が必要です。
 また、相続人全員でする必要があります。但し、一部の相続人が相続放棄し、残った相続人全員で限定承認をすることもできます。
                   
 なお、相続放棄も限定承認もせずに、相続人となったときから3ヶ月を経過すると、単純承認したものとされます。この場合、全ての資産も負債も相続しますので、ご注意ください。

pagetop