【予防接種と本人の同意】(弁護士 細谷)

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 新型コロナウイルスの猛威はおさまることを知らず、現在ワクチン接種が進められています。予防接種の手続きについては予防接種法によって規定されています。
 同法5条の2は、「予防接種を行うに当たっては、あらかじめ被接種者又はその保護者に対して、予防接種の有効姓及び安全性並びに副反応について当該者の理解を得るよう、適切な説明を行い、文書により同意を得なければならない」と規定しています。
 予防接種は強制ではなく、接種を受ける方又はその保護者から書面により同意を得る方法で進められることになっているわけです。
 被接種者が未成年の場合は、保護者である親権者の同意が必要とされています。
 他方で、成人の場合は、本人の同意が必要です。接種を受ける方が成年被後見人であっても、ご本人の意思が確認できる限りにおいては、本人の同意が必要となります。
 しかし、成年被後見人本人の意思確認が困難な場合、成年後見人が保護者として同意することができます。この場合、成年後見人は、本人の家族や医療・ケアチーム等周囲の方に相談しながら判断する必要があります。
 なお、接種を受ける方が被保佐人、被補助人及び任意後見制度における委任者(任意後見を依頼する方)である場合には、本人の意思確認が可能であることを前提として、本人の同意が必要とされています。保佐人、補助人及び任意後見人は予防接種法における保護者には該当しないため、予防接種に同意する権限は認められていません。

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