【気づきと発見を刺激された本に出会いました】(弁護士 小寺 正史)
「これでいいのか北海道」が書店に山積みになっていたので、思わず手に取ってみました。この本は、「まちの問題編」と「道民探究編」の2分冊で構成され、全国の自治体を対象にした、「地域批評シリーズ」のようです。
読んでみると、じっくり取材したというより、短期間に駆け足で北海道を取材して書き上げたという印象で、少々的外れで、乱暴な記載もみられますが、興味をひかれた点も多々ありました。
印象に残った点についてコメントします。
1 北海道の歴史
北海道の歴史について、私たちはほとんど学ぶ機会がなく、松前藩のことや北海道開拓ことを若干知る程度です。
しかしこの本では、「北海道で最も古い遺跡は千歳市の祝梅三角遺跡で約2万1,000年前のものだ・・・」と北海道の歴史を相当遡って記載しようとしています。資料も少なく不完全と認めながらですが、いわゆる「和人」が北海道に進出する以前の北海道に住む人々を取り上げようとしたことは画期的な取り組みだと感じました。
また、明治維新から現代にまで話は進み、拓銀破綻などにも及んでいます。歴史の部分に約50頁が割かれ、不正確な部分があるかもしれませんが、北海道の歴史を知る上で参考になるものでした。
2 人口を吸引しすぎる札幌
札幌市へは、道内各地から多くの人が移動するストロー現象を起こしており、東京以上に問題であると指摘しています。
すなわち、札幌市は独自の資源や産業があるわけではなく「ただ単に北海道の中心」でしかなく、自分だけでやっていけない街である。そんな街が人口を吸いまくっているのは「自分の足を食べているタコ」のようなものと厳しく指摘しています。
確かに、広い北海道には、エリアごとの特徴や資源が豊かです。この各地方を充実させ発展させ、さらにそれを交通ネットワークなどで強固に結びつけることが、北海道の発展となり,札幌の発展にも繋がるものと感じました。
各地域毎にいろいろな記載があります。当たっているかどうかは読者の判断になりますが,言われてみればそういう面があるかもという気づきもあると思います。
買ってまでして読むことはないと思いますが、書店で自分の地域に関する部分を立ち読みしてみると面白いかもしれません。