身近になった相続税

相続・遺言, 法律関係トピックス, 税務訴訟・税務関連業務, 税務

(平成27年3月寄稿)

改正相続税法(平成25年度税制改正)が平成27年1月1日から施行されました。これまでの相続税法では、5000万円+(1000万円×相続人の人数)の基礎控除が認められ、これを超える遺産があった場合にのみ相続税の申告が必要とされていました。たとえば、夫婦と子供2人の家族で夫が亡くなったケースの場合、基礎控除の額は5000万円+(1000万円×3人)=8000万円となり、夫の遺産が8000万円を超えない場合には相続税は課されませんでした。このような大きな基礎控除のため、課税対象は相当程度の財産がある場合に限定され、相続税は富裕層に対する税金と言えるものでした。実際、近年は相続税が課税される割合は数パーセント程度で推移していました(平成23年度で4.1パーセント)。
ところが改正相続税では、平成27年1月1日以降に亡くなった方の相続について、基礎控除が3000万円+(600万円×相続人の人数)まで引き下げられます。上述した4人家族のケースでは、基礎控除の額は3000万円+(600万円×3人)=4800万円となります。この結果、相続税の課税対象には中間層も含まれ、課税される割合は大きく増加することが予想されます。あまり喜ばしいこととは言えませんが、相続税が相当身近な税金になったと言えます。
なお改正相続税法では、基礎控除の引下げの他にも最高税率の引き上げの改正もなされており、富裕層に対する課税強化も図られています。

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