同族会社の「経営従事者」の給与の取扱い

税務訴訟・税務関連業務, 税務

(平成24年12月寄稿)

【法人税における役員報酬の取扱い】

法人税法における役員報酬の取扱いは結構複雑です。大まかに言うと、①定期的に同額で支給される給与 ②支給の時期と額が事前に定められており、税務署に届出をして支給される給与 ③利益に連動して支給される給与は、原則として損金に算入されますが、それ以外の給与は損金に算入されません ①から③に該当する場合でも、不相当に高額である金額については損金に算入することができません。

【同族会社における「役員」の範囲】

法人税法の「役員」には、同族会社(少数の株主によって支配されている会社)の使用人のうち、一定の要件を満たす者で、その会社の経営に従事している者も含まれます。従ってこのような「実質的な役員」については、役員として選任または登記されていないからといって、給与が原則損金に算入されるわけではなく、税務上は役員報酬として取り扱われるので注意が必要です。
この「経営に従事している否か」は、過去の裁判例においては、重要な取引の交渉・意思決定や金融機関との折衝などを行っているかどうか。「社長」や「代表取締役」といった肩書きの使用の有無、会社からの待遇といった事情から判断されています。
【典型的ケース】

しばしば見られる例としては、同族会社の代表者が高齢であり、実質的にはその息子が会社を取り仕切っているようなケースです。このような場合、取締役として登記されていないとしても税務上「役員」とみなされます。そのため、所定の報酬とは別に臨時に賞与を支給したような場合には、その賞与を損金に算入することができません。個別の事案については専門家にご相談ください。

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