連載 知的財産権⑪  特許の基礎知識6

法律関係トピックス, 知的財産法務

本来、新規性のない発明(公知、公用、刊行物に記載されたもの)や進歩性のないもの(当業者が容易に発明することができるもの)は特許を受けることができません。

しかし、特許庁による審査にも限界があるため、無効原因が判明しないまま特許が認められてしまうことがあり得ます。

本来特許が認められるべきでない発明について特許が登録されてしまった場合、特許庁に対し特許無効審判の請求をするという方法があります。特許無効審判の請求人の資格については、特許法が繰り返し改正されたことにより、当該特許の成立時期により異なりますので、注意が必要です。

いったん登録された特許は、特許無効審判により無効にならない限り、有効であることが原則です。

ただし、特許権侵害訴訟においては、特許無効審判を請求していなくても、その特許が無効審判により無効と判断されるべきものであると裁判所が認めるときは、特許権侵害は認められないとされています(特許法104条の3)。

したがって、もし第三者から特許権侵害との主張を受けた場合には、前回、前々回説明した先使用権、禁反言の検討とともに、その特許が特許無効と判断されるべきものでないかどうかの調査・検討も必要となりますので、覚えておかれると良いでしょう。

第三者から特許権侵害の主張を受けたり、判断に迷われた場合には、弁護士等の専門家にご相談されることをお勧めします。

つづく

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